「I LOVE YOU」に続く男性作家の恋愛アンソロジー。
前作のメンバーから伊坂幸太郎と市川拓司が抜けて真伏修三と山本幸久が参加。……売上落ちただろうなあ。
「リアルラブ?」 石田衣良 ★☆
セックスフレンドであるヤスとカナコの片思いの顛末を描いた作品。大体の感想は「I LOVE YOU」の時と同じ。筋も文章も凡庸な作品で、こんなもん書いてどうする気なんだという疑問が湧く。石田衣良が着々と劣化してるのが悲しい。そういう意味では切ない話ではある。
「なみうちぎわ」 中田永一 ★★☆
正体は乙一とも噂されるSF作家の別名義での作品。今回、ミステリー的な手法を使った作品を書いた事で、その可能性はより濃厚になった。今でも、個人的には乙一とは違うと思っているのだが真相は如何に。
作品自体はミステリー的なネタが作品の中心に添えられてしまったために、前作「百瀬、こっちを向いて」より小説としての面白みが減ったというか、軸がぶれたような印象。それでも意識不明になっていた間に、年齢差が逆転した主人公と少年など面白い設定を取り入れていて作品を凡庸にしていない。作者の確かな能力を感じさせる。
「I LOVE YOU」の時にこの路線での短編集を出して欲しいと書いたが、無事出版されたようだ。読んでみたい。
「ハミングライフ」 中村航 ★★★
前作の反省を生かして? ストレートな恋愛小説を書いてきた。
目立たない場所にある気の洞(うろ)を使った手紙(ウロレター)のやり取りを中心に話が進められていく。この手紙のやり取り(会話部分に相当する)がテンポよく飽きさせず、かつ登場人物にスムーズに感情移入させるものとなっていて巧みである。作品通じての雰囲気も良く、今回のベスト作品。
「DEAR」 本多孝好 ★★☆
ページ数も多く、このオムニバスの中心的な作品となっている。
少年時代の恋心や無力さを描いている王道的な作品。特にこれといったものはない手堅い作品だが、ラスト付近の残酷なはずの現実が爽やかなメッセージに一転するあたりはさすがの手腕。
「わかれ道」 真伏修三 ★★
転校してきた美少女と主人公の恋愛模様と言いますか。これも王道の作品だが、最初からラストに至るまで教科書通りのまま終わってしまうので、ありきたりな作品という印象しか残らない。ここが中田永一や本多孝好との力の違いということか。主人公が美少女につれない態度を取る理由もよくわからず。なんだかなあという感じ。凡作。
「ネコ・ノ・デコ」 山本幸久 ★★☆
前作にもあった「どこが恋愛小説?」系作品。苦い過去との邂逅が中心。暗い話の割になかなか気持ちの良い終わり方をしていて悪くはない。
JUGEMテーマ:
読書