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エンプティー・チェア〈下〉 (文春文庫)
エンプティー・チェア〈下〉 (文春文庫) (JUGEMレビュー »)
ジェフリー ディーヴァー
相変わらず面白い。
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バッド・ニュース/D・E・ウエストレイク ★★☆
 相棒のケルプに持ちかけられた墓泥棒。気乗りのしないまま仕事を請けたドートマンダーはひと悶着の末に胡散臭い詐欺に関わる事に。詐欺は簡単に成功するはずだったが、次から次へと悪い知らせが届いて……。

 今年の頭に亡くなったD・E・ウエストレイク。その代表的な作品であるドートマンダーシリーズの10作目。パーカーものにしても、ドートマンダーものにしても、もう新しい作品が生まれないのは残念。
まあ、それ以前に現在までに出版されている作品がキチンと翻訳されるかどうかという心配もあるのだが……。

 今回のドートマンダー一味はいつもと違って、ギルダーポストとアーウィンという男たちの詐欺にいっちょ噛みしてるだけなので詐欺師二人の計画に修正を加えていくような働きしかしない。大掛かりな犯罪計画が出てこないので寂しいというか不満というか。それでも楽しめるあたりがウエストレイクの腕なんだろう。

 実際、筋書きだけ考えてみると冗長な感じもするのだが読んでいる間はそんな事を感じさせない。ユニークな文体とキャラクターがそうさせるのだろう。毎度の事ながら、困った自体に右往左往するドートマンダーたちを見ていると楽しくなってくる。

JUGEMテーマ:ミステリ
 
| [海外【ア行】] D・E・ウェストレイク | 21:02 | comments(0) | trackbacks(0) | |
夏期限定トロピカルパフェ事件/米澤穂信 ★★
 小鳩常悟朗と小佐内ゆきは日々平穏に小市民として過ごすために恋愛関係でも依存関係でもなく、互恵関係を結ぶ間柄。小鳩はひょんなことから小佐内の夏休みを使ってスイーツを食べつくす計画に付き合わされる事になるが……。

 「春季限定いちごタルト事件」に続く小市民シリーズの二作目。「春季限定〜」と同じく「日常の謎」系の連作短編集だがシリーズ全体を通した動きが出てくる点が前作と違っている。

 短編ひとつひとつは各ネタの定型とも言える作品が並べられていて、前作と同じで目新しさも面白さもないが質は上がっているように感じられる。短編ミステリー部分は前作より良くなっている。

 連作短編集なので、当然最終章で各章が結びつき一冊通したテーマが浮かび上がってくるのだが、これがなあ……。驚きはあるし構造的な理解はできるんだがそこから先が続かない。「小市民」として生きようとした二人の結末というか末路に小説的な興味を感じられないというか、西尾維新の「クビシメロマンチスト」と同じで小説にのりきれないというか。ここで切なくなったり、恥ずかしくなったりすることがこの小説の肝だと思うのだが、「ふーん」で終わってしまう。合わないんかな。

JUGEMテーマ:ミステリ
 
| [国内【や行】] 米澤穂信 | 16:33 | comments(0) | trackbacks(13) | |
月の梯子/樋口有介 ★★★
 ボクさんこと福田幸男40歳。知能は小学校中学年程度でも母の残したアパート「幸福荘」で幸せに暮らしていた。しかし、ある日幸福荘で殺人事件が。殺人現場を目撃した際に梯子から落下したボクさんは、それをきっかけに知能を回復させていくのだが……。

 作者は知らなかったらしいが、知的障害者が知能を回復させていき……という設定は「アルジャーノンに花束を」と一緒。樋口有介流「アルジャーノンに花束を」とも言うべき作品だが、結局いつもの展開になっていくところがおかしいし、素晴らしい。

 知能の回復によって善意の人々や幸福だと思っていた人生の裏側を知ってしまうという哀しみは、「初恋よさよならのキスをしよう」で柚木が同級生たちの数十年を知ってしまうそれや、毎度おなじみ「高二の夏に殺人事件に巻き込まれて……」系の小説で学校の外にある同級生たちの人生を知ったときのそれと同じである。知りたくない真実を知りながらも事件の真相を追っていくというストーリーやその際の主人公の姿勢も同じ。知能が回復したボクさんなんてまるっきり柚木草平である(これはさすがに笑ってしまったが)。

 設定だけ見ると変化球系の作品に思えるがところはどっこい樋口有介王道の小説で。看板は変わったけど同じ味のラーメン屋というか。ファンはそれで良くても、それ以外の人には不満な面もあるかもしれない。

JUGEMテーマ:ミステリ
 
| [国内【は行】] 樋口有介 | 17:39 | comments(0) | trackbacks(0) | |
LOVE or LIKE ★★☆
 「I LOVE YOU」に続く男性作家の恋愛アンソロジー。
 前作のメンバーから伊坂幸太郎と市川拓司が抜けて真伏修三と山本幸久が参加。……売上落ちただろうなあ。

「リアルラブ?」 石田衣良 ★☆

 セックスフレンドであるヤスとカナコの片思いの顛末を描いた作品。大体の感想は「I LOVE YOU」の時と同じ。筋も文章も凡庸な作品で、こんなもん書いてどうする気なんだという疑問が湧く。石田衣良が着々と劣化してるのが悲しい。そういう意味では切ない話ではある。

「なみうちぎわ」 中田永一 ★★☆

 正体は乙一とも噂されるSF作家の別名義での作品。今回、ミステリー的な手法を使った作品を書いた事で、その可能性はより濃厚になった。今でも、個人的には乙一とは違うと思っているのだが真相は如何に。

 作品自体はミステリー的なネタが作品の中心に添えられてしまったために、前作「百瀬、こっちを向いて」より小説としての面白みが減ったというか、軸がぶれたような印象。それでも意識不明になっていた間に、年齢差が逆転した主人公と少年など面白い設定を取り入れていて作品を凡庸にしていない。作者の確かな能力を感じさせる。

 「I LOVE YOU」の時にこの路線での短編集を出して欲しいと書いたが、無事出版されたようだ。読んでみたい。

「ハミングライフ」 中村航 ★★★

 前作の反省を生かして? ストレートな恋愛小説を書いてきた。
 
 目立たない場所にある気の洞(うろ)を使った手紙(ウロレター)のやり取りを中心に話が進められていく。この手紙のやり取り(会話部分に相当する)がテンポよく飽きさせず、かつ登場人物にスムーズに感情移入させるものとなっていて巧みである。作品通じての雰囲気も良く、今回のベスト作品。

「DEAR」 本多孝好 ★★☆

 ページ数も多く、このオムニバスの中心的な作品となっている。

 少年時代の恋心や無力さを描いている王道的な作品。特にこれといったものはない手堅い作品だが、ラスト付近の残酷なはずの現実が爽やかなメッセージに一転するあたりはさすがの手腕。

「わかれ道」 真伏修三 ★★

 転校してきた美少女と主人公の恋愛模様と言いますか。これも王道の作品だが、最初からラストに至るまで教科書通りのまま終わってしまうので、ありきたりな作品という印象しか残らない。ここが中田永一や本多孝好との力の違いということか。主人公が美少女につれない態度を取る理由もよくわからず。なんだかなあという感じ。凡作。

「ネコ・ノ・デコ」 山本幸久 ★★☆

 前作にもあった「どこが恋愛小説?」系作品。苦い過去との邂逅が中心。暗い話の割になかなか気持ちの良い終わり方をしていて悪くはない。

JUGEMテーマ:読書
| [国内]オムニバス | 21:26 | comments(0) | trackbacks(0) | |
陽気なギャングの日常と襲撃/伊坂幸太郎 ★☆
 人間嘘発見器成瀬が遭遇した刃物男騒動、演説の達人響野は「幻の女」を探し、正確無比な“体内時計”の持ち主雪子は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリの久遠は殴打される中年男に―史上最強の天才強盗4人組が巻き込まれたバラバラな事件。だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な連鎖を始め…。(裏表紙より)

 半年以上前に読んだ作品なので大分記憶が薄れてたりする。よってあらすじは裏表紙頼り。

 雑誌に掲載された4つの短編に中編を組み合わせて長編に仕立て直した作品。元々は短編集にする予定だったものの予定を変更して長編にしたらしく、そのせいだろうか。いつもよりもプロットに無理を感じる。作者の最大の魅力は「パズルのピースがぴたりと当てはまるように」収束していくプロットなわけで、ここに無理があると苦しい。

 長編だからこそ収束されていくプロットに爽快感や驚きがあるが、短編ではそういう作りは珍しいものではない。そういう意味で作品の半分を占める短編部分も質の良くない「日常の謎」的な短編を読んでいるようで満足度が低い。その後の中編部分でも強奪計画にリアリティが薄い(柔道部員の件とか、さすがに無理がある)のも不満。寓話的な作品という説明で納得できる範囲を越えている。

 相変わらず良いのは文体やキャラクター、会話。結局の所、これらの魅了で上記の不満点をどれだけ忘れられるかがこの作品の満足度を決めることになる。キャラクターや会話に重きを置く人には今作も楽しめただろう。モデルにしてるドートマンダーシリーズのようにおちゃらけながらもしっかりした強奪計画、というのを期待した人間からすると残念な作品だった。

JUGEMテーマ:ミステリ 
| [国内【あ行】] 伊坂幸太郎 | 23:44 | comments(0) | trackbacks(0) | |
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