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大統領の汚職を暴き、「キャレリ事件」では元妻を窮地から救い出した花形弁護士クリストファ・パジェット。上院選への出馬も噂される彼が殺人容疑で逮捕された。被害者はリッチー・エイリアス。クリストファの恋人テリの夫だった。テリとリッチーは娘エリカの監護権を争って裁判中で、その裁判にクリストファの息子カーロも巻き込まれようとしていた。確かにクリストファに動機はあるが……。
「罪の段階」に続くリチャード・N・パタースンの超弩級エンタテイメント。前作も面白かったけど今回も凄い。
リーガル・サスペンスながら裁判以外の部分も抜群に面白いのがこの作家。事件の背景説明もダレずに読ませるところが作者の力だろう。今作に関してはリッチーのキャラクター造形で勝負あり。よくもまあ、これだけ腹立たしく最低な人間を作り出せたものである。この下種男リッチーの嫌らしい立ち振る舞いに翻弄されるクリストファとテリを追っていくうちに一気に物語に引きこまれる。
そしてリッチーの死後は「罪の段階」と同じく、被告が隠す真実を軸にした法廷劇とドラマが繰り広げられる。ハンデを負った弁護人がギリギリのところで検察の追及をかわしていく裁判劇には緊迫感が、爽快感がカタルシスがある。そして、リッチーによってボロボロにされ、クリストファが真実を隠すことによってさらにバラバラになっていく家族とそれを必死に繋ぎ止めようとするクリストファのドラマ。これらを同時に描き出す作者の文章力と構成力はずば抜けている。多重的な意味を持つ「子供の眼」というタイトルも秀逸。
話のオチが読めてしまうところはあるのだけれど、事件の背景→裁判→裁判後に明らかになる真実、と一回読み始めたら最後までぐいぐいと読まされてしまう。しかし、プロット重視の「軽い」話ではない。重厚の話をここまで一気に読ませる作家なんてなかなかいない。これが世界トップクラスの作家でないのなら世界は広すぎる。